しょうがないことだったのです。
夢中で肉を頬ばる者(私)
新しい人脈を作った人。
親睦を深める会員の方々。
会話に華をさかす女史達。
なによりも新たなクリエイティブが生まれる予感に包まれている会場。
そんな風景を目の前にして、柿崎慎也はファインダーから目を離すことができなかったのです。
誰も彼を責めることはできません。
「カードがありません」
その一文は彼の目の片隅にも入ってきませんでした。
押されるシャッター。
行き場なく、すぐに消されるデータ。
しかしまた、すぐに生まれ、また消えていくデータ。
そんな悲劇を誰が想像できたでしょう。
もう、あの風景は彼の脳裏の中にしか残っていないのです。
いや、残っているのかすら怪しい。
何も知らずに仕事に戻った彼は
その驚愕の事実をしり、どんな顔をしていたのでしょうか。
やるせません。
まさに、今日一番のシャッターチャンスを私達は逃してしまいました。
・・・つづく









